ケインズ経済学とMMT

景気対策を理論的に説明したいと思います。

資本主義社会が発展したのは、ケインズ経済学が基礎となってます。 ケインズは赤字国債を発行しても、公共工事をすれば、乗数理論により、何倍も経済発展して、税金増収すれば、赤字国債を返済できると主張してます。 しかし、乗数理論が成立するためには、公共工事に付加価値が付いて経済波及効果がないといけません。例えば、昔の東名高速道路などは、大きく経済波及効果がありました。 成熟した先進国は、インフラも整備され、公共工事で経済波及効果を求めることは難しい。従って、先進国で公共工事は景気対策にならないのです。

ケインズは、消費性向を上げる必要性も主張してます。そのため、資本主義国は、所得税の累進課税を導入し、富裕層の富を庶民に社会保障制度などで分配する政策をしてきました。 富を庶民に分配すると、消費が伸びて、景気対策になります。今の日本は、消費税を上げて所得税と法人税を下げるという、消費性向を下げる政策をして、景気失速しました。

ケインズは景気刺激策として、低金利政策も提案してます。低金利下で、企業は貯蓄するより、投資する方が利益を上げれるので、経済成長します。 今の日本は低金利でも企業は投資しません。これをケインズは、流動性の罠と呼びました。 なぜ日本は投資しないのか。一つの理由は、消費が伸びないので、投資を控えているのです。 もう一つは、日本社会は岩盤規制により、自由経済活動ができません。そのため、新規起業や、新規業務開発などができなく、投資が伸びないのです。 日本企業は15年間で、100万社も減少してます。閉塞感がある社会で、投資家環境は最悪です。

量的緩和をしても、銀行の当座預金に資金がたまるだけで、銀行が企業に貸出できなければ、インフレにならなくて、経済成長もしないのです。 金融政策は、ゼロ金利政策で十分で、量的緩和は効果なく、財政赤字が膨らむだけです。

従って、日本の景気対策は、消費性向を上げるための消費税廃止と、投資環境を改善するための、規制廃止が有効なのです。

 

MMTについて、簡単に述べます。 円建て債務をいくらでもしていいのなら、税金をゼロにして、政府は借金を踏み倒し、国民は遊んで暮らせます。そうすれば、いずれ国家破綻になります。 現在、日本国債の発行は900兆円。日銀が400兆円所有しているので、民間人で500兆円保有してます。 民間人は自由に国債を売れます。民間人が全員MMTを信じていれば、国債を売りませんが、そんなことはありえません。皆、それぞれの考えがあります。 日本の財政が危ないと思えば民間人は国債を売ります。金利は市場参加者の動向で決まります。MMTの理論が正しいかどうかの議論は関係ありません。

インフレ2%までMMTを実行するというのも、不可能です。2%になってから、全ての国債保有者に国債を売るなと命令はできなのですから、2%以上のインフレに簡単に進行します。

日銀が国債を全て保有すれば、国債は売られないと主張する人もいるかもしれません。しかしそうなれば、円の価値はなくなり円暴落リスクが発生します。 この場合も、海外の投資家全員がMMTを信じていれば、円を売りませんが、そんなことはありえません。皆それぞれの考えがあります。 日本円が危ないと思えば、海外投資家は円を売ります。為替は市場参加者の動向で決まります。MMTの理論が正しいかどうかの議論は関係ありません。

 

以上簡単ではありますが、経済理論と金融理論の私見を述べました。